推薦の言葉

米国の公認不正検査士協会(ACFE, Association of Certified Fraud Examiners)は、150 か国以上に約 8 万人に及ぶ会員を有する、世界的な規模で不正対策に関するトレーニングを提供する協会であり、企業不正の防止と発見に関する知識と実践的な問題解決策の提供を通じて、不正対策の専門家が結束して不正防止と早期発見に取り組めるように支援活動を行っています。

ACFE は、2016 年 4 月に『職業上の不正と濫用に関する国民への報告書 2016 年度版 (Report to the Nations on Occupational Fraud and Abuse, 2016 Global Fraud Study)』を公表しました。同報告書は、ACFE が認定している資格者である公認不正検査士(CFE, Certified Fraud Examiners)による 2014 年 1 月から 2015 年 10 月までの 2 年間における世界中からの 2,410 件の報告をもとに、職業上の不正の発生形態を分析し、それらが事業や組織にもたらした損失額などを見積もる調査研究です。この報告書は 1996 年に初めて発表され、今回は 9 度目の報告となります。2 年ごとに公開される報告書は、不正事件の手口や損失に一定の傾向があることを示しており、調査結果は、企業の不正リスク管理プログラムの適切な構築と実施に役に立つ情報となっています。

2016 年版報告書は、職業上の不正は、内部統制や監査人による不正発見の重要性の強調などにも関わらず、内部通報(Tips)による発見が 39.1% と最も多く、その発見は内部通報システムがある組織では 47.3%、システムがない組織では 28.2% であった結果を示しています。過去の報告書においてもこの傾向が一貫しており、企業不正の発見に対しては内部通報ラインの設置と運用が最も大切であることを表しています。

トレッドウェイ委員会支援組織委員会(COSO, Committee of Sponsoring Organization of the Treadway Commission)と ACFE は、2013 年に改定された「内部統制の統合的フレームワーク(Internal Control - Integrated Framework)」の第 8 原則である「不正リスクの評価」に対応した「不正リスク管理ガイド(Fraud Risk Management Guide)」を 2016 年 9 月に公表しました。このガイドは組織が不正リスクの管理プログラムを効果的に開発するための指針を提供していますが、不正対策活動(Fraud Control Activities)の重要な要素として内部通報システム(Whistleblower Systems)の適切な配備と運用の重要性を強調しています。

一般社団法人日本公認不正検査士協会(ACFE JAPAN)は、その ACFE が日本で唯一推奨している通報窓口であるDQヘルプラインを推薦します。

濱田眞樹人

一般社団法人日本公認不正検査士協会 元理事長
博士(経営管理学)
米国公認会計士 (USCPA)
米国公認管理会計士 (USCMA)
米国公認財務管理士 (USCFM)
公認内部監査人 (CIA)
公認不正検査士 (CFE)
Certified Financial Planner®
ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク Vice President Finance and Administration、ハリー・ウィンストン・ジャパン株式会社 Vice President Finance and Administration、立教大学 大学院 ビジネスデザイン研究科 特任教授・客員教授、The Japan Society of USCPAs (JUSCPA, 日本における米国公認会計士団体) 副幹事長など、外資系企業のマネジメントや教育機関の教員などを歴任。